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販売先小売店へのサービス機能を付加した革新性を卸売業が実現しない限り、卸売業の存在意義を見い出すことはできないのである。
卸売業は、“配”という意味での物流機能だけでなく、本来の機能である“アソートメント”を強化することによって利益を獲得すべきである。
プッシュ型からプル型へ近年までわが国の流通は、メーカーを起点とした“プッシュ型”物流システムのもとに発展してきた。
メーカーは、生産した商品を卸売業から小売業、さらには消費者へと押し流し、川上優位の少品種多量物流方式を推進してきたのである。
つまり、昭和50年代後半ごろまでわが国の物流は、生産システムを支援する役割、あるいは販売活動の事後処理として位置づけられていた。
したがって、独自に経済またはサービス価値を創出する活動とはみなされていなかったと言えるだろう。
たとえば、物流高度化のモデルとされてきた“ジャスト・イン・タイム(JIT)納品システム”は、T自動車のかんばん方式に端的に示されているように、大企業が下請け中小企業の部品納入に際し、在庫ゼロを理想状態とする生産管理方式の一部にとらえられている。
換言すれば、流通版JIT納品とは小売店を中心に考え、商品が店頭において売れる直前にデリバリーされる仕組みである。
小売店の在庫負担を最小に抑制するための物流システムと言えなくもない。
主役である小売店の在庫を削減し、しかも高度な物流サービスの水準を達成するため、流通の川上にあるメーカーや卸売業はわき役または黒子に徹し、常に過剰と思える在庫を抱えなければならない。
そのうえで、小売店の必要とする時に迅速、かつ正確なデリバリーによって小売店に対する物流サービスを向上することが要求されている。
特に、物流コストの上昇が深刻化する卸売業においては、今後、無秩序なJIT物流が進展すれば死活問題までに発展する可能性がある。
事実、地方の伝統ある問屋が得意先の不振や度重なる物流コストの上昇などに耐えかね、ローカルスーパーのベンダーに転身するケースも見受けられる。
小売業による卸の“資金なき吸収”と言えるだろう。
小売業にパワーがシフトし始めた状況を憂慮すれば、小売業の要請にただ従うだけの保管・配送業者への道をたどる卸売業は、今後も減ることはないだろう。
低成長経済が進展する時代における物流のあり方は、消費者利益の確保を最終目標に掲げなければならない。
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